七野大一 しずくの間
「 しずくの間 」
私はこれまで<水>をテーマとし素材に用いて表現してきました。
一滴のしずくがもたらす波紋、大滝の荒々しいしぶき、風がもたらす
水面のゆらめき、<水>の様々な表情には神秘的な感覚を覚え
また二つと同じ表情を見ることのできない魅了される一瞬があります。
作品「しずくの間」は六畳の和室に現世を意味する水たまりを配置し
そこに一滴一滴の「しずく」が波紋を生みだします。
それは刻々と過ぎ行く日々・年月・時代の流れのなかで一つの魂が
この世に誕生することでなにかしらの波紋を広げることを意味します。
また、血筋を表す家系図を意味した銅管から誕生する「しずく」は
遠い昔より先祖代々命のリレーをした結果、奇跡的に誕生した命の
存在を表します。そして空間を見守る神棚。
私は神秘的な一面を持つ自然素材<水>による
「現世(うつしよ)の空間」を表現します。