「かはたれどき」:七野大一(シチノ ダイイチ)
2021/11/2(火)-11/13(土)
12:00-18:00
休廊:11/7(日) 11/8(月)
作家在廊:11/3,6,12,13
「かはたれどき」
「彼(か)は誰(たれ)」と思うほど目の前の相手が誰だかうっすらとしか見えない
日が昇る前の薄暗い夜明けのひとときのことをいいます。これから一日が始まろうとする活動前の静かな空気に浸る時間。
私の好きな時間です。
そして、美しい言葉ですね。和語は、漢語にはない音の美しさを持っています。
なぜかこの一日の朝の早い短いひと時に心が落ち着き、穏やかな気分になります。
私はこれまで自然の恵〈水〉をテーマとし素材に用いて表現してきました。長らく水を見つめなかで、
水そのものに、生命を感じるときがあります。
それは一滴のしずくがもたらす波紋、水がつくる風のゆらめき、水の音、糸の様に細く滴り、水は溜りやがて蒸発によって空気中に気化し姿はなくなる。 このように水は無色透明でありながら変幻自在にあらゆる表情を見せて、ひとところに留まることはありません。
その上、〈水〉それは人間を含めあらゆる生物がいただき、命を育みそして命の連鎖を守る役割もあります。水を外側からとらえると、とてもその表情は面白く魅力あふれ、その役割は、我々の命の源泉であり大切な存在です。
この度の展覧会では薄暗い空間のなかで、いくつもの表情をもつ〈水〉に親しみながら〈かはたれどき〉の静かなひと時を過ごしていただき、都市空間では薄れがちな自然の時の流れに触れることにより心を癒し、そして神秘的な一面を持つ<水>の魅力に出会う機会になれば幸いと思います